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あたらしいムーブメント?

 またすっかり更新が滞ってしまいました。

 大学に講師に行っていた際の教え子が出品しているというので出かけて来ました。

ishoken.jpg

 多治見市陶磁器意匠研究所の卒業制作展です。その教え子は大学で陶芸についての一通りを学んだあと、こちらに進んだのですが、その成長に驚いた。それもそうだけど、何よりこの卒業制作展の内容の濃さにただただ驚いてしまった。

 作品ひとつひとつの完成度は、どこかで見たようなもの、所謂イショーケン的な雰囲気な作品が多々見受けられるのだけど、それぞれがなかなかの完成度を持ち、そして決められたスペースのなか、どのようにして見せるかをよく考えて展示されている。それが薄暗いなか効果的な照明の相乗効果と相まって、会場のなかの雰囲気が実に清々しいものに私には感じられたのです。

 それにしても限られた時間の中で、よくぞここまで作れるように成長するものだと驚いてしまった。私も大学で講師をしていたことが何年かあるけれど、いったいどんな教え方をしてるのだろうと気になって仕方がなかった。出品しているなかには、海外から来て制作している人もいるようなのだけど、きっとそういう人たちの姿勢が大きく影響を与えているのではと思う。

 久しぶりに見た意匠研究所の卒業制作展だったけど、現代の陶芸界を見たときに、個々の卒業生の活躍は明らかにひとつのムーブメントとして浸透しているのだと感じた。ひと昔まえ、私たちがこの世界に踏み入れたころは、先ずは桃山陶ありき、全てがそこから始まっていて、作家も「桃山を超える」とか、「桃山陶の生まれたこの地に生まれて、先人の偉業に思いを馳せながら云々」、個展の会場には必ずこんな文言を見つけたものだが、彼らをみていると同じこの美濃という土地にいながら、全く別次元で制作をしているのだという空気を強く感じた。おそらく彼らに桃山陶のことを聞いてみても、何も知らないのだろう。卯花墻という国宝の茶碗がこの地で焼かれたなどということも知らないのだと思うし、別に興味もないのだと思う。

 ひとつのムーブメントを作り上げているかのような彼らだが、その動きはいつまで続くのだろう。会場にはギャラリー関係者も多々来ているようで、自分の作品をシンガポールに持って行ってもらえると喜んでいる学生の声をチラリと聴いたりした。卒業制作の作品をいきなりそんなステージに上げて貰えて、学生にしたら狂喜乱舞する思いなのだと思うし、意匠研究所にしても有難いことなのだろう。昨今、いろいろな作家が現れるなか、この学生を取りあげたギャラリーさんには、一つのビジネスとして終わらせず、ずっとその面倒を見て行って貰うようにお願いしたいものだ。

 とにかくいろいろと考えさせられる展示で、いろいろと勉強させられた思いだが、 最後にこんなことがあったので。。。

 じっと食い入るように作品を見ていたら、その作者の女の子が近づいてきて話しかけてきた。

          「陶芸がお好きなんですか?」

 ただただ笑うしかなかった。

テーマ : 陶芸
ジャンル : 学問・文化・芸術

プロフィール

スズキテツ

Author:スズキテツ
岐阜県多治見市在住の陶芸作家
スズキテツの日常と非日常。

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